S.O.S
心一と咲さんの家は
ホテルから車で10分くらいで
到着した。
新築のファミリーマンション。
部屋は真ん中あたり。
[今井]の表札を前に
地に足が着いてない気分だった。
ピンポーン♪
《はい。》
『おれー』
ガチャ。
《おかえりなさい。
唯‥さんよね?
どうぞ上がってください》
「お邪魔します」
中は白と焦げ茶を基調とした
インテリアで
差し出された
ふわふわのスリッパは
まるで咲さんそのものだった。
心一と咲さんの足元は
お揃いのスリッパで
あたしはやっぱり
招かれざる客なのだと
改めて感じた。
《今、子供が寝たの。
良かったわ。》
咲さんはあたしに笑いかけた。
リビングのソファーに
あたしと心一が並び
咲さんと対面して座った。