S.O.S

気分は晴れやかだった。

心一は家まで送るよって
言ってくれたけど
駅まですぐだし歩いて帰った。

いつしたのか
心一の左手薬指には
指輪が光ってた。

結局マンションの下まで
心一は見送ってくれて
最後に謝ってきた。

『唯。俺のこと殴って』

「いいのっ?
じゃあ目をつむって
歯くいしばれっ」

ギュッと目をつむった心一に
あたしはパンチじゃなくて
キスをした。

183センチの心一に
背伸びしてキスしたら
上から降るようにキスの嵐。

くちゅ‥っ、ちゅっ。

「しんっ‥んんっ、あ」

『ゆい‥っ、んっ‥ふっ』

貪るようなキスだった。


心一のキスを忘れないように
何度も角度を変えて求めた。




いよいよ酸欠になって
二人は離れた。

「もう浮気すんなよ!」

『唯は浮気じゃないよ。
本気だった。』



それが聞ければ十分だった。
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