略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
自己反省中の私に、江藤くんが笑いながら言う。

「だから、俺がさらいに行くって言ったじゃん。俺がいるだろ?俺にしとけって。」

江藤くんの優しい冗談が嬉しくて、心が癒されていくようだった。

たぶん私は甘えている。
江藤くんに彼女がいないのをいいことに、彼の優しさに甘えているんだ。

江藤くん、ごめんね。
そして、ありがとう。

私は心の中でそっと呟く。

ずっと自分の話ばかりだったことにふと気付いて、

「江藤くんは、いい人いないの?」

と、何気無く聞いてみた。
今まで江藤くんから女の人の話は聞いたことがない。

知らないだけでいつの間にか彼女作ってたりして?
とか思っていると、あっさり答えが返ってくる。

「いますよ。…でもその人超鈍感だから、まったく気付いてくれないんだよね。」

「そうなんだ。」

何だ、江藤くんも好きな子いたんだ。
じゃあ、あまりご飯とか誘うのはよくないかな?

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