略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
会社の近くのワンルームでいい物件を見つけたので、早速契約する。
江藤くんは「俺の家に住む?」と言ってくれたけど、そこまで甘えるわけにはいかないしそんな勇気も出ない。

江藤くんのことは好きだし、抱きしめられるのもキスをされるのも全然嫌じゃない。
むしろドキドキして胸が苦しい。
だけどもしかしたら、弱い自分が江藤くんの優しさになびいてしまったのかもしれないと、たまに頭をよぎる。

情けないことに、本気の恋なのか自信が持てないのだ。

それに、江藤くんもワンルームだ。
私が転がり込んだら狭くなるし迷惑になる。

引っ越しは単身パックで身軽だ。
それほど多くはない荷物だけど、江藤くんが手伝いにきてくれた。

「女の人にしては荷物少ないよね?」

「そう?」

「姉が引っ越すときはこの倍は段ボールあったよ。」

言われた通り少ないのかもしれない。
あっという間に片付けが終わってしまったもの。
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