略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
***

珍しく仕事中に江藤くんが渋い顔をして考え込んでいた。
私は社内配布物を配り歩きながら、

「どうかした?」

と声をかけてみる。
腕組みをして椅子ごとこちらを向く江藤くん。

「取引先の会社がシステムに繋がらないって言うんだけど、調べても異常が見当たらなくてさ。あと考えられるとしたら向こうの機器の問題なんだけど。それはどうやったら調べられる?」

突然のなぞなぞのような質問に、私はうーん、と考えてみる。

「その会社に出向くとか?」

「だよね。この会社、成田市なんだよね。」

うちの会社は横浜市にある。
取引先の会社は、千葉県成田市。
そこまで遠くはないけれど、近い距離でもない。
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