略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
「よし、とりあえず旅行でもするか。」

「はいはい、仕事してくださいねー。」

仕事を放棄しだした江藤くんを軽くあしらって、私も残りの配布物を配り席に戻る。
自席から江藤くんを覗き見すると、また渋い顔に戻っていた。

でも本当に、一緒に旅行したら楽しいだろうな。
江藤くんといると話が絶えない。
たとえ沈黙があったとしても、それは全然嫌じゃないものだもの。

そういうのって、何かいいよね。

私はそんな光景を妄想して、ひとり微笑んだ。
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