略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
「私たちはもう終わったんだよ。やり直すことはないし、あなたと話すこともない。帰ってください。」

腕を掴まれそうになって、必死に振りほどく。
前みたいに流されるわけにはいかない。
当たり障りのない曖昧な言葉でごまかしてはいけない。

「もう連絡してこないで。」

そうきっぱりと告げて、私は正広から逃げるようにして走り出す。
とにかく、人が多いところへ。
家の場所はきっとバレているけど、それでも自分が家へ入っていくのは見られたくない。
確証を与えたくない。

私は必死に走った。
正広を撒くようにして、途中曲がってみたり駐車場を通り抜けてみたりして逃げる。

まさかストーカーになった?
ううん、ちょっと違う気がする。
純粋に、会いに来た…ように見えた。

だけど触れられたくない。
怖いよ。
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