略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
どう伝えたらいいのか頭を回転させてみたけど、下手に言葉を濁したり遠回し的なことを言うとかえって誤解を与えかねない気がして、先程のことをストレートに伝える。

正広に会ったこと。
やり直したいと言われたこと。
ちゃんと断ったこと。

「…それで逃げてきたの。」

「どこで会ったの?」

「…家の近く。」

とたんに遼太郎くんの眉間にシワが寄った。
私の手を掴むと、スタスタと歩き出す。

「り、遼太郎くんっ?」

「萌をそんな危ないところに住まわせられないから、もう俺の家に住むこと。」

「で、でも。そんなの迷惑…。」

「さっきも言ったよね。恋人には迷惑かけていいって。まあ俺は迷惑でもなんでもないし、むしろ早く一緒に住みたかったし。一緒にいた方が守ってあげられる。」

握る手が一層強くなる。
さっきまであんなに怖かったのに、遼太郎くんがいるだけで自然と心が落ち着いてくる。
安心する。

「ありがとう。」

お礼を言うと、遼太郎くんは私を見て優しく微笑んだ。
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