あれは、 溺愛王子の ヤキモチでした


俺、アイツを驚かせてやろうと思っただけだったんだ。

登校したらちょうどアイツがいた。
だから、放送部員の外郎売に合わせて、レッスンで嫌というほど叩きこまれた外郎売を重ねた。

『来るわ来るわ何が来る、高野の山の御杮小僧、狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本――』

そしたらアイツ……。

俺を大惺だと勘違いしやがった。

そんなわけねーだろって。
ヤツはもうこの世にいねーんだから。

それなのにその現実を捻じ曲げるほど。
アイツはヤツのことが好きってことだ。

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