敵役令嬢はラスボスに求婚される。
「内地でぬくぬくしてたい奴がいるなら今のうちに言え。都合をつけてやる。青の任務は最も死人を出す。死ぬ覚悟があるものだけ残れ。」
ジャックナイフ位の言葉はあるんだろうと思ってたんだけど、まさかのチェーンソー全開で、振りかざして来た。
けど、新人の顔の血色は一気に引いていき青ざめていた。勿論、望まぬ者もいただろう。だいたい貴族のお坊ちゃんが死ぬ覚悟なんか、持ち合わせてないだろ。

そうすると、一人が手を上げた。それに、端を発したのか、三人がまさかのリタイア。
副団長に連れられて行った。
「勘弁してくださいよ、団長。ただでさえ人員不足の団なのに新人三人て。最初のドンパチで生き残る新人の数知ってるでしょ?全体の3分の2ですよ?」
私の隣にいたナルさんな苦言を挺していた。

3分の2て、なんですか?この三人の中の誰か一人が最初に死ぬってことですか?え?
心の中でちょっと毒づいてると団長が反論を始めた。
「役立たずがいても、邪魔になるだけだ。ああいう人間は何処で何をしても死ぬに決まっている。」
辛辣なお言葉。チェーンソーは、まだ全開でした。
そんな、氷の団長を地で行くシアロン団長が残った私達三人の目の前に足を運んだ。

近くで見ると迫力2割増し。整いすぎな顔は逆にモテない気がする。
「お前たちは死ぬ覚悟があるのか?」
どちらでもいいがなって副音声が聞こえそうな目をしながら問われた。
最初に答えたのは、確かシセトーラと言う没落した伯爵家の次男だった。
「私は、この国のために命を捧げる覚悟で騎士になりましたので」
拳を握りしめて、答えた。
次にシーナが答えた。
「俺は、他のが良いとか贅沢言えるような立場じゃないんで、覚悟をしなきゃならないなら、覚悟をするだけです。まぁ、せざるを得ないとも言います。」
いつものように、あっけらかんと言ってのけた。
こいつ、シアロン団長が怖くないのかしら。肝が座ってるっていうかなんというか…。

お前は?シアロン団長は、冷たい目を向けて来て、そう聞かれたような気がした。
「私は死ぬ覚悟何て死んでもいやです。しません。」
隣でシーナが口を開けて呆れてる。この馬鹿がって顔に書いてある。
シアロン団長の目は相変わらず冷たいままだ。
その瞳の中に映る自分を見つめながら、
「私は死ぬ為に生きているんじゃありません。もし、覚悟をしろとおっしゃるのでしたら、私がする覚悟はいかなる状況においても生き抜く事を考え生還する覚悟です。」そう告げた、
シアロン団長の瞳が一瞬だけ揺れた気がした。
気のせいだったかもしれないけれど。

「…好きにすればいい。私はお前が死のうが生きようがどうでもいいのだからな。」
冷たく一言を放って団長は、颯爽と去っていった。

「お前、凄いな。じゃ無きゃ馬鹿か?団長にあんな啖呵切った奴始めてみた。女だからって見下してたけど、見直した。」
ヴィアーヌさんが頭をポンポンしてくれた。怖い人だと見た目で判断しちゃってたけど、正直でいい人かもしれない。
「レイトアーノ、お前怖くないのか?団長が。」
ナルさんも続けざまに聞いてくる。
「怖いですよ?そんなのここに来る前からわかりきってることじゃないですか。それが、嫌ならわざわざ青の騎士団なんて、希望しませんよ。」
笑って答えると、なぜかナルさんも頭をポンポンしてくれた。

その後は明日に備えての計画と、青の騎士団としての行動の仕方などを二人に教えていただいた。
私は二人について、明日から北方民族が侵略してくる可能性のある国境の警備にあたる。

初っ端から激務になりそうだけど、これも王宮から王子から離れる為。

何としてでも生き残る。そして、処刑エンドを回避するのだ。

< 10 / 40 >

この作品をシェア

pagetop