敵役令嬢はラスボスに求婚される。
翌朝、空がまだ明けきらぬうちに私はナルさんとヴィアーヌさんと共に宿舎を出た。
ここから丸一日かけて馬に乗り、配属地へと向かう。

太陽が、頭の真上に上がってきた頃ようやくナルさんが「昼にするか」と声をかけてくれた。

森の中に馬をつなぎ、近くの川で水を汲み、軽く休憩がてら軽食を取った。
「夜までには、着きたいからあまり長く休憩はできないが、平気か?レイトアーノ。」
ヴィアーヌさんが心配してくれる。やっぱり良い人だ。
「はい、お気づいありがとうございます。」
「まぁ、今のうちにしっかりと休んどけよ。向こうは春先とはいえ、寒いからな。」
ナルさんも声をかけてくれた。
これから行くところは、北方民族との国境になっているスーナンという町だ。国の北側に位置するのでまだ、冬並みの寒さなのだと聞いた。

私達は15分位休憩をとってすぐに、馬にまたがりスーナンを目指した。

スーナンに着いたのは夜の6時を回った頃だった。辺りは真っ暗で、篝火の火がやけに明るく見えた。

着いてすぐにナルさんが国境警備の注意点を教えてくれた。
宿舎でも、北方民族との確執など国境警備に当たるための知識は教えてもらっていたのでそれの再確認だった。警備は12時間体制で一人ずつ交代する。以前は三人1組で3チーム交代だったのだけど、今は人員不足で一人で警備しなくてはならないらしい。

任務は、明日の朝からということで今日はナルさんが警備についてくれた。新任のうちは先輩のどちらかについていてもらう事になったので、ナルさんとヴィアーヌさんは実質休みがないことになってしまう。
これは、早いとこ一人前にならなくては申し訳ない。
そう思い、明日の任務のため眠りについた。

 



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