敵役令嬢はラスボスに求婚される。
翌朝、私とヴィアーヌさんは朝食を済ませナルさんと交代をした。
この後ナルさんは、2時間ほど仮眠をとって王都へ向かう。帰ってくるのは明日の早朝になる。
それまで、私は12時間ヴィアーヌさんは24時間警備に当る。
本当に二人には頭が上がらない。

昼過ぎ頃、私とヴィアーヌさんは作り置きしていた昼食を交代で取った。ヴィアーヌさんが、やぐらに腰を下ろして昼食を食べている間は私が一人で警備をしている。

「ん?」
北方民族側の、山に一瞬何かが光った気がした。
まだ、雪解けを終えていないので雪が太陽に反射したのかとも思ったが、明らかに金属系の反射だった。

持っていった双眼鏡を使い、光ったあたりを見た。
「どうした?何か見えたのか?」
私の行動にヴィアーヌさんが質問をしてくる。
「………」
「おい、どうした。」
すぐに答えようと思ったが衝撃的な光景にあっけを取られて言葉が出なかった。
「ほ、北方民族が武装しています…」
やっとの思いで一言だけ言葉になった。

ヴィアーヌさんが私の双眼鏡を奪い覗いている。
停止している頭の更に深くで私は無意識に思い出していた。小説のある、一節を。

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