敵役令嬢はラスボスに求婚される。
そうだ。そうだった。聖女が来たのはこの国が侵略されそうになって危機的状況下あったからだ。
 聖女として召喚された、女だけは何故か不思議な力を持ち国救う事ができるのだった。

その、不思議な力と言うのがこの世界には、存在しない“魔力”であった。唯一聖女だけが、使えるから聖女は国の救いなんだ。

「レイトアーノ、今すぐ馬を走らせて一番近くの青の騎士団宿舎へ連絡をしろ。兵力を集中させる。」
この世界の事をおもいだしていると、ヴィアーヌさんが私に指示をしてきた。
でも、それだと相手の思う壺だ。
「私より、ヴィアーヌさんの方が早く馬を走らす事ができます。彼らは、おそらく今すぐには攻撃してきません。ですから見張りは私がやります。各所、王都への連絡は、ヴィアーヌさんが行うのが適切です。」

「………。」
ヴィアーヌさんは黙ったまま考えている。
あと、ひと押しだ。
「私なら大丈夫です。大丈夫では、無くなるまでに戻ってきていただけると嬉しいです。」
笑って言うと、ヴィアーヌさんは「わかった、でも無茶はするな。何かあったらすぐ逃げろ。」
そう言って、頭をポンポンして直ぐに馬を走らせていった。

やぐらの上から、北方民族を見続けていると、重要な事に気がついた。その瞬間、冷や汗が全身から流れ出た。
  
(私だけが、これが罠だって知ってても意味ないじゃん。え、どうするの。青の騎士団みんな来ちゃったらどうすんの。)

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