敵役令嬢はラスボスに求婚される。
牢の、鉄柵にしがみつく私をみて、族長は眉をひそめた。

「おい、一つ増えておる。」

そこで、酒を一口のみ一息ついた。

「しかし、条件がある。わしにも、民たちを守る責任があるのでな。」

「条件?」

「そうだ。というかまず、この同盟やら、和解やらはお前が勝手に言っているのであって、クレシア国が言っているのではないという事が問題だ。」

「あ、」

余の出来事に一番大切なことを忘れていた。

私は、国と民族の問題を一人で勝手に話を進めていたのだ。何たるバカ。

「そこで、条件と言うのはクレシア国から平等の条約を結ぶといった旨を伝えてくる事。我らがクレシア国に入り協力する代わりに、クレシア国は我らを保護する又は自治を認める事。今までの事は水に流す事。これらの事は最低でも守ってもらいたい。ここに我らの思いと意思を書き記した。」

そう言って、族長は懐から手紙のような折りたたまれた紙を見せた。

「分かりました。これを国王と、議会に認めさせればいいんですね。なんとかしてみせます。」

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