敵役令嬢はラスボスに求婚される。
「先程も言ったように、これが罠であると思ったからです。」

「単身乗り込んで、話も聞かずに殺されたらどうするつもりだったんだ。」

「殺されないと思ったから行ったんです。」

「ただの新人がこんな重大な時に勝手な行動をとり、一歩間違えれば国を脅かしかねない一大事になり得たのだぞ。今回は上手く行ったからいいものの、上の指示を聞けないものなど、騎士として最低の騎士だ。」

言っていることはよくわかるし、まっとうなんだけど、なんだか無性に腹が立つ。

「お言葉ですが、ではシアロン団長はこのままザビルス族といがみ合う関係であるのが良いと思われるのですか?」

「お、おい」

私の生意気な口利きに、ナルさんが焦った様子で止めようとする。

「そういう、話をしているのではない。お前の勝手な行動を許すわけにはいかないと言っているのだ。」

「あの時は時間が無かったんです。青の騎士団が北に集中すれば、サルスーン帝国の思う壺だから。そんな事で青の騎士団を壊滅させるわけにはいかないじゃないですか。だいたい、私が正直に言ったら信じてくれたんですか?信じないでしょ?こんな、新人の言う事なんて………」

< 33 / 40 >

この作品をシェア

pagetop