敵役令嬢はラスボスに求婚される。
最悪だ。

あの、シアロン団長が教育係であの、シアロン団長の雑用係で。

「おい、返事。」

感情のない無機質な声で命令される。

心の中ではぁ、とため息をつきながら

「はい。」と答えた。

そうして、私はシアロン団長の雑用係に任命された。

最悪だと思ったが、意外といい事もある事に気がついた。

王都に行けることだ。

王都へ行けば、父も叔父もいる。ザビルス族の事を交渉できる。

「それでは、私はこの手紙と事の顛末を説明しに王都へ行きます。」

シアロン団長に言うと、冷ややかな視線を向けられた。

「ナル、こちらには別の騎士をよこそう。」

私が抜ける穴を埋めるため、別の騎士が来るらしい。

「ありがたいですけど、うまい料理にありつけなくなるのは残念です。」

ナルさんが、苦笑していた。

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