敵役令嬢はラスボスに求婚される。
ついたのは青の騎士団の宿舎ではなく、シアロン団長の屋敷だった。

屋敷と言っても言うほど大きくはない。私の実家のほうが大きいだろう。

私はシアロン団長についていき、一室に通された。

「ハァ…で、私はなんの仕事をしたら良いのでしょうか?」

緊張やらなんやらで疲れているのと、シアロン団長の雑用係になってしまったのとでため息を吐きながら仕事を尋ねた。

「ため息を吐くな。お前ほど生意気な新人は初めてだ。」

シアロン団長からは、ものすごーく冷ややかな目で睨まれてしまったが、もはや怯える気力もない。

「それは、お褒めに預かり光栄です。嫌味は後でいくらでも聞くので、早く仕事をください。私は寝たいんです!」

早口でまくしたて、睡眠欲に駆られつつある脳を目覚めさすように大きな声で訴えた。

「…そこにある報告書をまとめろ。それが、終わったら明日の朝一で今日の始末書を提出だ。私は自室にいる。」

そう言うと、シアロン団長は部屋を出ていった。

「鬼ですか…………てか、自室ってどこよ。」

眠いと訴える私に眠る時間すら与えない、まさしく氷の騎士団長。いや、今のは氷の鬼だな。

だいたい、報告書のまとめ方とか教わって無いんだけど。まあ、報告書も始末書も前世で散々書きましたからね。社会人舐めんなよ!

なんてことを考えながら、各地方の青の騎士たちから送られてきた報告書をあらゆる分野ごとにまとめていった。果たしてこれがあってるかどうかはわからないけれど、そんな事は知ったことではない。

指示を出さない奴が悪いのだ。

悪態をつきながら報告書を資料にまとめ、始末書を書き、全て終わりついでにテシ族長から預かった手紙の相談のための必要なものも揃えてやった。さすがだ、私。

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