恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
そう聞かされてみれば、ふたりはよく似ている。
くっきりとした二重瞼の優しい目も、細い鼻梁もそっくりだ。
そうなると、一樹は大病院である久城総合病院の御曹司ではないか。
驚くべき事実を前にして、梓は腰が引けるのを感じた。
「そんなことより、おばあさまの容態だけどね」
久城が話の軌道を修正する。
「看護師から聞いたとは思うけど、昼間から吐き気を訴えていてね。そうこうしているうちに気を失ってしまって。でも、心配しなくていいよ。多香子さんのように頻脈の患者さんは、ひどくなると時に気を失う人もいるから」
「……祖母は大丈夫なのでしょうか?」
「じきに目を覚ますだろう。ただひとつ、提案したいことがあるんだ」
そう切り出した久城の提案とは、祖母にもう一度アブレーションという不整脈を治す処置を行うというものだった。
もう一度開胸手術なんて受けさせられないと首を横に振った梓だったが、その心配は必要ないという。足の付け根から細い管を挿入し、心臓に達するとその先端から高周波の電流を流して、頻脈を絶つというものらしい。
つまり身体への負担はほとんどないと。