恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「梓の花嫁姿を見届けてからじゃないとね」
「それじゃ私、一生結婚しない方がいいんじゃない?」


そうすれば多香子はずっと生きていてくれるのだろうから。


「そんなことを言わずに、素敵な恋人を紹介してよ。おばあちゃんね、今眠っている間に梓がいい男を連れ立って見舞いにきてくれた夢を見ていたんだよ」


まさか薄っすらと意識があったのでは?と、梓が思わず勘繰る。
意識がないなりに、一樹がここにいたのを感じていたのかもしれない。


「そうね、梓にはそろそろ彼氏のひとりくらいいてもらわないとね」


陽子にまでダメ出しをされ、梓は身の置きどころがなくなった。
その後、主治医の久城を呼び、いったんは心配がなくなったと告げられ、陽子と梓は帰宅したのだった。

< 114 / 301 >

この作品をシェア

pagetop