恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
◇◇◇
「あの、ここは……?」
一樹の車は、閑静な住宅街にある大きな建物の地下に吸い込まれていった。
「俺の住むマンション」
「えっ?」
どうしてそんなところに?と思わずにいられない。
「梓に渡したいものがあって」
「私に渡したいものですか?」
いったいどんなものなのだろうかと梓があれこれ頭の中で考えているうちに、地下駐車場で車が停められた。
周りを見てみれば、同じように高級車がずらっと並んでいる。その様は壮観で、ついキョロキョロとする。
そうしているうちに一樹に助手席から降ろされ、手を引かれてエレベーターへ乗り込んだ。
低層マンションらしく五階までしかないが、エレベーターやさきほど見た外観から、ハイグレードマンションであるとうかがえる。
聞いたところによれば、一階にはフロントもあり、コンシェルジュが二十四時間待機しているらしい。