恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
三階で止まったエレベーターを降りると、ベージュ系で統一された広い通路が現れた。高そうな絵画や上品なシャンデリアが等間隔で配置され、高級感に溢れている。
この分だとエントランスロビーはもっとゴージャスだろうと想像がつく。
さすがは社長の肩書き。
父親の所有する不動産物件らしく、五階には弟も住んでいるらしい。
開錠された玄関ドアの中に招き入れられると、広い玄関フロアが現れた。
正面の壁にはガラスタイルとブロンズミラーが貼り分けてあり、左側の壁にはマーブル調のタイルとクリアミラーが貼られている。淡いオレンジのダウンライトが、オフホワイトのフロアをやわらかく照らしていた。
スリッパを鳴らしてリビングに入ると、梓は深いため息を漏らした。
何面にも連なった掃き出しの大きな窓は、午後の日差しをめいっぱい取り込み、部屋全体を明るく照らしている。
その向こうに見えるのは、インナーバルコニーか。寝心地のよさそうなデッキチェアとテーブルが置かれ、観葉植物が居心地のよさそうな空間を作っている。
部屋は全体的にブラックやグレーのモノトーン。落ち着いた上質なインテリアは、一樹のセンスのよさを物語っていた。