恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「それは結構難易度が高いぞ」
それじゃ、自分には無理かもしれない。そう思って戻そうとしたところで、
「さて、梓は上手に離して、元に戻せるかな?」
無理だと含ませたように一樹に言われて、俄然やる気が湧いてきた。
「やってみます」
宣言して、いざ知恵の輪に立ち向かう。
一樹はソファにゆったりと座り、コーヒーを飲み始めた。その隣で梓は金属片と格闘。
(あれ? ここがこうなって、こっちが……。え? 外れない。どうして?)
知恵の輪を手にした梓は四苦八苦。いくらどうやっても、第一段階の外れるところまでいかない。何度試してみても、もとに戻ってしまうのだ。
「ギブアップする?」
一樹にクスクス笑われ、「いいえ」と返したが、さらに十分ほど触っていてもなにも変わらない。