恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

◇◇◇

食事に行きがてら送っていくよと一樹に言われ、梓が現実に戻される。
気づけば、一時間も知恵の輪に熱中していた。


「すみません、あんまり夢中になってしまって……」


しかも、結局外せていない。


「いや、大丈夫。梓の真剣な横顔をじっくり堪能できたからね」


そんなところをずっと見られていたのかと思い、恥ずかしくて顔が熱くなった。


「でも暇じゃなかったですか?」
「かわいい横顔を見ていて暇ってことはないよ」
「……一樹さん、何度も申し上げていますが、からかわないでください」


魅惑的な笑顔を向けられ、言われ慣れていない言葉を使われ、これで好きになるなっていう方が無理だろう。


「俺も何度も言うけど、別にからかってないから」


クスクスと笑いながら一樹が手をひらりと振る。

< 134 / 301 >

この作品をシェア

pagetop