恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
◇◇◇
食事に行きがてら送っていくよと一樹に言われ、梓が現実に戻される。
気づけば、一時間も知恵の輪に熱中していた。
「すみません、あんまり夢中になってしまって……」
しかも、結局外せていない。
「いや、大丈夫。梓の真剣な横顔をじっくり堪能できたからね」
そんなところをずっと見られていたのかと思い、恥ずかしくて顔が熱くなった。
「でも暇じゃなかったですか?」
「かわいい横顔を見ていて暇ってことはないよ」
「……一樹さん、何度も申し上げていますが、からかわないでください」
魅惑的な笑顔を向けられ、言われ慣れていない言葉を使われ、これで好きになるなっていう方が無理だろう。
「俺も何度も言うけど、別にからかってないから」
クスクスと笑いながら一樹が手をひらりと振る。