恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

紙袋の中を覗いてみれば、箱がふたつも入っていた。

梓が唖然としていると、一樹は紙袋から箱を取り出し、中からパンプスを取り出す。

一足目がブラック。バンプにリボンが施され、洗練されているが飽きのこなそうなデザインだ。
二足目はベージュ。ポインテッドトゥとヒールの組み合わせがスタイリッシュで、こちらもかなりおしゃれ。
どちらもヒールは七センチくらいある。


「この前の真っ赤なやつだと、仕事で履くには派手すぎるかと思って。これなら洋服にも合わせやすいんじゃないか?」
「それはそうなのですが……」


どうしてこんなにもプレゼントの応酬を?
梓は不思議でならない。


「……気に入らないデザインだったか?」


梓が手も出せずに二足のパンプスを眺めていると、一樹は不可解そうに眉をひそめた。


「いえっ、決してそのようなことは」
「じゃあなに?」
「こんなに高級なものを、昨日と合わせて三足もいただくわけには……」

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