恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「ル・シェルブルの山口楼って言ったら、格式の高い日本料理屋ですよね。前に雑誌の高級料理店特集で見ました」
「やっぱりそうだよね」
そんなところに陽子と足を踏み入れたことは、これまでに一度もない。
「梓さんのお母さん、なにかいいことでもあったんじゃないですか? あ、わかった!」
絵梨がワントーン高い声をあげ、人差し指を立てる。
「もしかして、再婚するとか」
「再婚!?」
これには梓もびっくりだった。まさかそうくるとは。
「だって、梓さんのお母様って、旦那様を亡くされてずいぶん経つんですよね?」
梓が小学一年生のときだから、かれこれ二十年だ。
絵梨の質問に頷いて答える。
「それなら、その可能性が高いと思います」