恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
改めて男性を見てみれば、梓と同年代くらいに見える。歳のわりに若いのかもしれないが、大きく見積もっても四十代前半だろう。
くっきりとした二重瞼の整った顔立ちをしており、きちんと整えた髪が清潔感を与える。自然と笑みの浮かんだ顔は、優しさが滲んでいた。
たしかに陽子は若々しいが、まさかひと回りも年下を再婚相手として連れてくるとは思いもしなかった。
(お母さん、年下が好みのタイプだったの?)
梓に恋愛経験がないため、陽子とこれまでに男性の話をしなかったことが悔やまれる。
なんにせよ、陽子が再婚したいというのであれば、相手がものすごく年下だろうが梓は受け止めなければならない。
「私、お母さんがそうしたいと言うなら賛成だから」
「えっ、本当に?」
陽子はカッと目を見開いたかと思えば、これまでにないほどのいい笑みを浮かべる。
そこまで喜んでもらえると、梓もうれしくなる。
「うん。だって、お母さんが望んでいるんでしょう?」
「そうなの。お母さん、ずっと心配でね。このままじゃいけないって」