恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
勘違いとはなんだろうか。
梓は首を傾げて隣の陽子を見た。
「お母さん、再婚するんでしょう?」
「やだ、梓ったら!」
陽子に背中を軽く叩かれ、梓はちょっと前のめりになった。
「やだってなに?」
「あなたに遠藤さんを紹介してるのよ?」
「だから、お母さんの再婚相手としてでしょう?」
「違うわよ」
陽子は抑揚をつけて歌うように言った。
それならば、この顔合わせはいったいなんだというのだろうか。
「梓の結婚相手としてどうかなと思っているのよ」
「えっ、私!?」
梓は自分の胸に手をあて陽子に聞き返した。
「そうよ。遠藤さん、まだ三十歳よ? お母さんと結婚だなんて失礼じゃない」
「でも、私はてっきりそうなのかと……」