恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「でも、不思議なものだな。俺の祖父と梓のおばあちゃんが、昔お互いを想い合っていたなんて」
「……はい。私の祖父には悪いなと思ったのですが、一樹さんのおじいさんと私のおばあちゃんが一樹さんと引き合わせてくれたのかな、なんて考えてしまいました」
その話を一樹の父親から聞いたときに、梓は一樹への気持ちをはっきりと自覚したのを思い返す。
どこか運命めいたものを感じずにはいられなかった。
「そうかもしれないな」
だとしたら、この出会いを大切にしていきたい。
梓は強く願った。
梓を抱いたままの一樹の手が、サラサラと髪を弄ぶ。
「コンプレックスのこの髪を褒めてくれたのは、一樹さんが初めてです」
「こんなに綺麗な髪なのに」
そう言って、髪にキスを落とす。
「身長が高いのも、ずっと嫌でした。小さくてかわいらしい女の子に生まれたかったって、ずっと思って生きてきたので。でも、一樹さんと一緒にいて、そんな自分も好きになりました」