恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「俺にしてみたら、梓はかわいらしい女の子だぞ」
「そう言ってくれるのは、一樹さんだけですよ」
梓はクスッと笑いながら、腕の中で一樹を見上げた。
「一樹さんが、全部初めてなんです。恋もキスも、……それから今したことも」
「知ってる」
余裕の笑みを浮かべ、一樹が梓の髪を愛おしそうに撫でる。
「梓が、誰のものにもなっていない奇跡に感謝するよ」
二十七歳にもなって、すべてが初めてだという梓を馬鹿にするでもなく、蔑むでもない。
一樹は、梓のすべてを受け止めてくれたのだ。
「一樹さん、ありがとうございます」
思わず感謝の言葉を告げると、一樹は上体を起こして梓に覆いかぶさった。
「梓にひとつ教えよう。そういうときに言うのは、ありがとうじゃなく」
「大好き、ですか?」
「よろしい」
一樹は満足げに微笑むと、梓にとろけるような甘いキスをした。