恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「あのさ、こんなところでそんな反応しないでくれる?」
「あ、あぁ、カッコ悪いですよね、ボーッと突っ立つなんて。すみませんっ」
(でもでも、悪いのは一樹さんなんですよー)
心でそう叫びながら謝ると、一樹は半ばあきれたように肩をすくめた。
「無自覚なのは本当に怖い」
「はい? 怖い?」
なんなのかわからず梓が聞き返すと、一樹は梓の耳もとに唇を寄せた。
「反応がかわいすぎるって言ってるんだ」
耳に触れるか触れないかの距離で囁かれ、梓の顔はさらに熱をもつ。
「そういうのは俺の前だけにしておけよ」
一樹に髪をくしゃっと撫でられ、さらには軽くウインクまで投げられた。
おかげで梓の身体の全細胞は活動を停止。呼吸すらしているか定かではないほどだった。