恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

『ともかく、電話でお話しできるような内容ではないので、明日会いましょう』
「いえ、ですから――」
『明日の午後七時、梓さんの自宅マンション近くの駅前にある『ドロシー』で会いましょう』


断ろうとする梓を遠藤が強い口調で遮る。


「私、行けません」


梓も負けずに強く言ってみるが、遠藤はさらに『梓さんのご家族のためにもいらしてください』と言い、そのまま通話が切れた。

(……家族のため? どういうこと?)

最後に思わせぶりに遠藤に言われ、梓が混乱する。

家族を持ち出せば、梓が来ると思っているだけなのか。それとも、本当に多香子や陽子がかかわることなのか。
いくら考えたところで、それだけの情報では梓にわかりようもなかった。

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