恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「すごいじゃない、絵梨ちゃん」
「ふふふ。梓さんに褒められちゃった」


絵梨は両手を口にあてて、うれしそうに笑った。


「でもどうしたの? いつも私のお弁当を見て地味だって言ってたのに」
「だって最近の梓さん、ぐんぐん綺麗になっていくから。そういったものを食べていれば、私もそうなれるかなーって」


絵梨の言葉に梓はぽかんと口を開ける。あまりにもお世辞がすぎる。
そう言って褒めそやしてくれるのは、同性では絵梨だけだ。


「私が綺麗なんて冗談はやめてね、絵梨ちゃん」
「やだなぁ、なんで私がそんな冗談を言わなきゃならないんですかぁ? 今度、私もストレートパーマをかけてみようかと思ってるんです」
「どうして? 絵梨ちゃんのふわふわの髪、私好きよ?」


梓が見ても、女の子らしくて守ってあげたくなる。
そんな髪がいらないのなら、ぜひともトレードしてほしい。


「なににも負けないようなストレートヘアになってみたいんです」

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