恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「これをご覧になっていただきたいのですが……」
そこには、〝みよしの商店街再生プロジェクト〟と銘打った提案がA4の用紙五枚にわたり書かれている。
一樹はこの二週間、自分の足でみよしの商店街の調査を行った。それにより改善や新たな取り組みで、生まれ変われると判断したのだ。
思いきってアーケードの天蓋を撤去し、開放感のある空間にリニューアル。約六百メートルの通り沿いに樹木を植え、季節ごとに違った表情を楽しめるようにする。
歩く喜びを失った街は退屈である。歩いて気持ちがいいストリートを目指していくのだ。
また、来街者から休憩スペースを求める声が定期的に寄せられていることからヒントを得、空き店舗や通りの一角を使った、無料の〝お休み処〟を設けることも検討。
商店街の最深にある空き地を〝みんなの広場〟と銘打ち、子どもが走り回ったり、店で買ったものを食べたりする憩いの場にする。
空き店舗の寂し気なシャッターには絵を描き、オシャレに飾りマイナスの存在をプラスに変えていく。
空間デザインで街ににぎわいを取り戻す。
それが一樹の提案だった。