恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
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一樹の両親に挨拶を終えた梓は、数年前まで一樹が使っていた二階の部屋へ案内された。
二十畳ほどの部屋には布団こそないものの、ベッドも書棚もデスクもあり、使っていた当時のままになっているようだ。
ブラックを基調としたシックな家具は、今の一樹のマンションのテイストととても似ている。
定期的に掃除の手が入るのだろう。とても綺麗にされている。
「一樹さんの小さい頃のアルバムはありませんか?」
梓はふと、一樹の幼い頃のことが知りたいと思った。
「もちろんあるよ。見る?」
「はい、ぜひ見たいです」
バイタリティあふれる一樹が、どんな幼少期を過ごしたのか。
一樹は書棚を漁り、分厚いアルバムを何冊か取り出してくれた。それをベッドのスプリングの上に広げる。
梓はベッドに腰をかけ、そのうちの一冊を手に取った。