恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

やっぱりと思わずにはいられない。
バレンタインデーには抱えきれないほどのチョコをもらっていたに違いない。

梓が素直に感心していると、一樹はクスッと鼻を鳴らした。


「なんてね。かなりオーバーに言ってみた」
「え? そうなんですか? 一樹さんならそうだろうなぁと思いましたけど」
「そこまで言うほどじゃないよ。そこそこ」


きっとそれは謙遜だ。
この顔でモテないわけはない。医師を目指すくらいだから勉強もできただろう。
陸上部っぽい写真もあり、表彰台で一番高いところに立つ姿もある。

イケメンで勉強も運動もできるなんて最強だ。
こうして一樹の歴史を垣間見ると、自分はとんでもない人と結婚しようとしているのだと思い知る。


「一樹さんは、本当に私でいいんですか?」


そう聞きたくなるのも無理はないだろう。


「俺は梓がいいんだ。梓しかいらない」


はっきりと言い切られ、胸が熱くなる。
一樹は梓を引き寄せ、額に軽く口づけた。
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