恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「そうだ。今日は梓に持っていってもらいたいものがあるんだ」
一樹はおもむろに立ち上がり、デスクの脇に置いてあった紙袋を取って戻った。
そこにはBMのロゴ。見たことのある紙袋だった。
「これはやっぱり梓に受けとってもらいたい」
一樹が中からふたつの箱を取り出す。
それは以前、一樹が梓にプレゼントと言って渡そうとしてくれたブライトムーンのパンプスだった。
梓は頑なに受け取りを拒否し、一樹もそれを納得してくれたのだが……。
「俺が持っていても仕方ないし、梓にぜひ履いてもらいたい」
あの時の梓は、一樹との関係が物で取り引きされるようなものだと考えたくなくて、プレゼントされることを拒否した。
でも、一樹との結婚が見えてきた今なら、梓もそれを素直に受け取れる。
「ありがとうございます」
梓が手を出すと、一樹は満面の笑みを浮かべて喜んだ。