恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

『明日の予定は?』


挨拶もなしに唐突に聞かれ、頭が混乱する。それでなくても相手は一樹。目の前の絵梨も気になり、梓はハラハラだ。


「あぁえっとそうですね……特には……」


強いていえば多香子の見舞いに行こうかと考えてはいるけれど。


『それじゃ、午後一時に自宅に迎えにいくよ』
「はいっ? 迎えって……」


もしかして自分を?と梓が聞き返す。


『デートしよう』
「デ、デートですか!?」


思わず声が出て、向かいに座る絵梨も「デート?」と目を丸くした。しかもキラキラと顔まで輝かせる。


『そう、デート。映画でも行こうかと思ってね』


映画デートなんて、もちろん梓はした経験がない。いや、デートと呼ばれるものだって、この前のラウンジが初めてだったのだ。

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