代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
「え?違うのか?」
当然の展開を楽しんでいるようにも見える姉は私の肩を抱いてあっけらかんとこう言うの。
「私達、べ・ん・り・や、です」
「便利屋っ!?」
そう聞くと誰もが見る目180度変わるのでここはもう愛想笑いしかない。
すぐさまオフィスで依頼出来るプランの説明をし始める姉に唖然とする。
さすがやり手社長。
お金の匂いがすれば即行動。
ものの数分で勝手に盛り上がっちゃってるし。
しかしここは橘建設。
すっかり意気投合してる姉と副社長に取り残された私と秘書さん。
「うちの事務所すぐ近くなんで来ちゃいます?」なんて誘いに2つ返事で乗っかっちゃってるよ……
とりあえず橘建設の依頼は達成出来たという訳で幕を閉じたけど………
事務所に向かう途中の車内で。
「いいの?簡単に話進んじゃってるけど」と半ば呆れて姉に言う。
「紗和、いい会社に気に入られたね〜副社長の肩書き…最高だわ〜金になるぞ〜」
もはや返す言葉ナシ。
あの僅かな時間のプレゼンで一体何を見出したんだろ……?
「まぁ、引っかかるのは…あんたに下心ありそうなところだよね」
運転しながらそう呟く横顔は経営者としてだけでなく、姉としてもだったように思う。
事務所に直接依頼に来るクライアントも少なくはない。
女性スタッフがほとんどでやっぱり1番人気はレンタル彼女。
たった1時間デートしてほしい、一緒にランチorディナーを食べて欲しい、等が山ほどあるのだ。