代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



大手スポーツメーカーHIDAKAの本社とはまるで月とスッポンな建物にまずビックリされている。
それもそのはず。
軌道に乗っかりつつもまだちゃんと整っていないプレハブみたいなのが事務所なんだから。



まだスタッフも事務作業していたり、明日の代行シュミレーションをしていたりで数名残っていた。
社長が連れて来たクライアントなのでさぞや大きな仕事だろうとチラチラ気になっているのがわかる。



便利屋 = 代行業社。
法律に違反するもの、道徳に反するもの、性的な事柄及びサービス以外なら普通に引き受けます。
クライアントに寄り添い、身近な「困った」を一緒に解決していく事が起業した原点なんだと姉は言っていた。



そんな姉を目の前に、HIDAKA副社長はもう一度はっきり私を預かりたいと申し出るも、得意の焦らし作戦で応戦している。



「うちの紗和、優秀なんでこちらとしても手放したくはないんですよ〜」



一体いつから優秀になったのよ私……
まだまだ尻が青いとか言ってたくせに。



「社名は出せないですけど秘書業務にも引っ張りだこで…」



引っ張りだこ……になるはずだから秘書技能検定受けさせられたよね?
丸暗記キツかったっす。
言ってる事ひとつひとつがオーバーなんだけど?
鵜呑みにしてるっぽい副社長はとうとう立ち上がってしまった。


「他の所より倍は報酬を出す!だから彼女をうちの会社で預からせてくれ!いや、買う!」











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