代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「良いですよ?その代わり……レンタル彼女じゃないですけど」



「え?」



キョトンとしちゃって締まりのない表情も可愛い。



「プライベートな私ですけど良いですか?」



パアァ…!と明るい表情になって喜びを露わにする副社長に声が大きいと注意する。
慌てて口を押さえ私に謝る。



もう…レンタルはイヤ。
レンタルじゃない関係がいい。



「ありがとう」って髪を撫でる仕草にいちいち胸が踊る。
優しく微笑まないで……直視出来ない。
一瞬だけ忘れて……欲しくなる。



独占するって言ったくせに………





土曜日、朝から自宅へ迎えに行く。
送迎車が出てるので後部座席に並んで座った。
「宜しければどうぞ」とスピードラーニングの教材を手渡す。



「ふーん」とパラパラめくりながらイヤホンを耳に挿した。
流れる景色をぼんやり眺めていたら耳に何か触れてビクッとなる。
「ん…」と片方のイヤホンを私の耳に挿されて一緒に聴く形になった。



こ、これ………集中出来る!?



「お前、これ聴いてただけであれだけ喋れるようになったんだ?」



「ま…まぐれです……」



「大したもんだな」



私の場合、ちょっと特殊な勉強法で……ジムのランニングマシーンで走りながら聴いて覚えるという。
頭が無になって結構覚えてるもんなんだよね。



「ダメだ……ちんぷんかんぷんだ」



イヤホンを外してしまう手を止める。



「着くまでの時間だからあっという間だよ?」



ほら、敬語使わないで話したら黙り込む。
不意打ちってやつね。
2人だけに聞こえる声で……






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