代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「聴くの?聴かないの?」



「聴き……ます」



すぐ素直になる裏ワザみたいなもんだね。
イヤホンを渡して流れてるフランス語を復唱する。
びっくりして私を見つめる副社長と運転手さん。



「副社長、まずは私のレベルに達してくださいね?」



ドヤ顔してやったらやる気出たみたい。
単純な…イケメンオスゴリラ。
そこがまた好きなんだけど。



私も一緒に受けれるとかで本格的に取得しようと申し込む。
残念ながら私は初心者コースではないので別室となった。
第二部の韓国語はお互い初心者なので同じ教室でのスタートで満足されたようだ。



あ、頭がこんがらがる……
出来れば走りたい……
そして私よりゲッソリしてる人が。
「もう何も考えられない」って項垂れてまた肩に頭が乗っかってきた。
慌てて元に戻す。



「この後ホームパーティーなんですよね?」



思い出したようにシャキッとする。
切り替え早過ぎ……



「着替えたいんで先に行っててください」



「わ、わかった」



「わかってると思いますけど……プライベートなんで本当に素でいきますからね?要求は一切なしで」



「わかってる。居てくれるだけでいいから」




その言葉を聞いて安心した。
レンタルじゃないって事はっきりさせておきたかったから。



一旦シャワーを浴びて髪をセットする。
お気に入りのピアスを付けてガウンから私服に着替えたらレッツゴー!


車のエンジンかけて出発。
バックミラーに映る自分を見て、本当に素で勝負するんだなと改めて実感した。
それは初々しくもあり、勿論不安もある。





< 152 / 278 >

この作品をシェア

pagetop