代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



便利屋で代行ばかりやってると、そういう気持ち忘れがちになるんだよね。
依頼された通りに動けばいい、話す事全ては台本通り、その笑顔も感情なくどんな時でも作り出せるもの……



なんか虚しくなっちゃうな………




家に着く数分前に電話をかけて駐車場を開けておくようお願いした。
そう言っておけば案の定、皆がお出迎えしてくれてる。
彼女見たさに、あるいは本当に付き合ってるのか確かめる為の野次馬な部分もあるんだろう。



びっくりしたフリしながら皆に会釈して副社長に誘導されながら駐車する。
慌てて外に出て改めて挨拶した。



「えっと…2回目、ですよね?改めまして、深山紗和と申します」



皆がポカーンとしてるから隣に立つ副社長を見る。
そしたら副社長もボーッと私を見てるから腕に触れて「響ちゃん?」と呼んだ。
すぐに我に返り「俺の彼女」と再び紹介してくれた。



普段とは違うスタイル、ギャップ萌え成功ですか?



毎日秘書スタイルでタイトスカートにデザインブラウス等のOLファッションがほとんどだけど、今日の私は黄色のレースをあしらった膝丈スカートに上は白のプリントTシャツ、カーキ色のミリタリーブルゾンを羽織り腕まくりしたカジュアルに。



髪は降ろして巻いてる。
青いニット帽を軽くかぶっていつもとは真逆の甘すぎないコーデで攻めてみた。



「ヤバ…あの時の子だ〜」
「響也マジかよ」



ジロジロ見られるのは慣れてる。
それより気になるのは……今日も来てるんだね、あの人。
前回会った時から目に余るものがあった女の友達?
また睨まれてる。
最初から私達の仲を怪しんでた。






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