代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「え、じゃあ取引先とか?あ、事務だ、事務!」



「バーカ、ちげぇよ」



「じゃあ何だよ」



「紗和は俺の…何だっけ?」



副社長まで私にフッてくる。
一気に視線が集中して赤面する。
自分で言うとか恥ずい。
両手で顔を覆う。
気を取り直して「秘書…です」と言ったら発狂された。



「マジかよ響也!何でお前だけいい思いしちゃってんだよ!」



「秘書っぽくないよね?」とあの女が言う。
皆と笑いながら仲良く話してるフリして何かと刺々しい態度を度々ぶっ込んでくる苦手なタイプ。



「ですよね、まだまだ勉強中です」



そう謙遜したらまさかの副社長が反論してきた。



「そんな事ない!俺は今、お前のお陰でのびのび仕事が出来てるし助けられてばっかだ。マジで感謝してる。よく出来た秘書だよ」



「ありがとう……ございます」



皆の前でとか…お構いなしなんだね。
ちゃんと意思は明確にする……さすがトップに立つ人間だ。



「ラブラブじゃ〜ん?見せつけやがって〜」



隣同士、目が合って…また逸らす。
初々しいひと時。
私達の重なった時間はまだ短いから全てが新鮮で愛おしかった。



お酒も入って皆のテンションも上がってきている。
とにかく飲む量が凄い人達だ。
そして平気で酔っ払う。
あの女以外は。



終始周りがほっとかない私を見て苛立ちもあっただろう。
逆の立場ならよくわかる。
ただ珍しいだけだから、付き合いたての初々しさを皆がよってたかって突いてるだけだから。






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