代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
そんな私に束縛副社長は離れないしで……もう飲むしかないよね。
グラスのお酒を一気に流し込んで足がおぼつかないまま立ち上がりスッと消えた。
5分経っても戻って来ない。
「ちょっとお手洗い」と告げて席を立つ。
トイレに行くと椅子に座り、案の定潰れているあの女の姿が。
「大丈夫ですか?」
意識はあるようで私を未だ睨みつける。
お酒のせいで情緒不安定なのか今にも泣き出しそう。
「何であんたなのよ……私の方がずっと一緒に居るのに……響也の事わかってるのにぃ」
やっぱそうだよね……好きなんだね、副社長が。
じゃなきゃこんなに泣かないよね。
「ごめん……なさい」
「は?何であんたに謝られなきゃいけないのよ…随分自信あるのね」
「そうじゃないです、自信なんてないから…本当は不安で仕方ない……でも譲る気もない。それに対してのごめんなさい、です」
「秘書だか何だか知らないけど、一番近くに居る存在だからって勘違いしないで」
「じゃああなたは伝えたんですか?その気持ち…響也さんに」
またも睨まれる。
今の私に一番言われたくないよね。
副社長は断ったって言ってた。
知ってて聞く私も相当性格腐ってる。
どす黒い何かが心を支配してく。
女同士の醜い争い。
「側に居るだけで良かった……少々傲慢なところもあるけど、頭が良くて…決断力があって…何でも自分で叶えてく……そういう自信満々なところにずっと惹かれてた。久々に会ってあんたが居るってわかって無性に腹が立ったわ。秘書?ありがち…」