代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉




「紗和ったら………バカなんだから」



グスッと泣く私をヨシヨシしながら一緒に泣いてくれるレオの存在。
彼も同じ便利屋で働く仲間だ。
見た目はかなり強面だけど中身はピュアで私より女の気持ちをわかってる。
私の心を支えてくれて唯一本音が言える仲だ。



「響也はもっとバカよ…」



「違う……私の器が小さいの、全然受け止めきれなくて…」



話すそばから涙が溢れ出る。
肩を抱いて頭を預けさせてくれるレオに甘えてしまう。



「紗和……それ本気で惚れてるよ?好きだからこそ受け止めきれないの。冷静で居られないのよ」



いつの間にか心を奪われてた事……気付かないフリがそろそろ限界だった。
秘書で居る時間は何とか保てていたけど、それ以外はこんなにズタボロになるなんて自分が一番びっくりしてる。



「好きなんだよね〜仕方ない事なのよ?全然恥じる事でもないし本気なら当然なんだよぉ」



腕をさすりながらレオも頭を預けてくる。



「連絡は?きてないの?」



「電源切ってる…」



「あらま、素直になれない子…」



素直になるって難しい………
仕事の場合とそうじゃない場合の境界線が曖昧になっていく。
もしも今日がレンタル彼女として行っていたならどうしてたんだろう。
余裕の笑みでも浮かべてたのだろうか。



どんなに心乱れても、クライアント優先で対応出来てた…?
あの後ちゃんと笑えてた…?
ううん、違う……絶対無理だ。
いつの間に私は……プロじゃなくなったの?







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