代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



襟を戻した後のキスはちょっぴり怒られる。
俺のキスはとろけちゃうんだって。
そんな事言われたらたまんねぇよな。
また押し倒したくなる。



「副社長、今日から1時間程どこかで空けて頂けますか?」



秘書モードに戻っての聞き方も可愛い。



「ん?なんで?」



俺のデスクの上に置いてあったフランス語の教材を手に取り満面の笑みでこう言うんだ。



「毎日1時間でも一緒に勉強しませんか?」



こんな幸せな事ってある?
紗和が教えてくれるらしい。
教え合う事がスキルアップに繋がるんだって。
一緒に同じ目標に向かう事で連帯感が生まれ、離脱しにくくなる…と。



そんなの二つ返事でOKだぜ。



場所は社内のオープンカフェエリア。
皆に目がつく場所でするのもスキルアップの狙いの1つ。
同じイヤフォンを分け合いながらスピードラーニングを聞き発音練習や、教材を使って教えてくれる。



完全に俺に合わせてくれてて申し訳ないけど、教えてくれてる時の紗和は見惚れるくらい綺麗な横顔してる。
間違って発音したら何回も付き合って直してくれたり、わざと間違えても笑って優しく指導してくれるんだ。



そんな1時間、いつもあっという間。
アラームが鳴ったら終了。
会議が立て込んでいたらやれない日もある。
そしたら内線でちょっとばかしフランス語で会話してきたりする。
カタコトで返すのが精一杯だけど合ってれば紗和が喜んでくれるから俺も意地になったり。



気付けば結構会話で実践出来てたりして手応えを感じてる。
かなり紗和のお陰。






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