代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
会議も視察もプレゼンも、代理として卒なくこなしていく。
何度かお会いしている顔見知りの関係者各位には普段は出来ないフォローも忘れずに。
というのは、副社長は仕事の話になると少々強引で容赦ないところが多々見受けられるので相手側にとっては厳しい場面もあるのだ。
双方が程よい利益率に繋がる提案をしていくのも私の仕事なのかなって…最近思うようになりました。
「日高には私から伝えておきます」
そう言うとほとんどの方がホッと胸を撫で下ろしてる。
結構恐れられているのね、副社長も。
「相手を信用してるからワガママ言うんだよ、昨日今日そういう仲になった訳じゃない」って前に言ってた。
確かに切磋琢磨して応えてきた会社への後のフォローは半端ないかも。
やっぱり少々強引ではあっても仕事に対する姿勢は尊敬に値する。
あの背中からみる景色と真正面から見る景色は全然違う。
たくさんの荷物を背負って毎日戦ってたんだな……
屋上に出て背伸びする。
束の間の気分転換…と言いたいところだけど、本当の目的は……
__ハハハ、屋上か?会議どうだった?
愛しい声が鼓膜をくすぐる。
テレビ電話で報告会という名の充電時間。
自然と笑顔が溢れる。
__大変だよ〜頭フル回転で倒れそう……
泣き真似しておどけてみせる。
そしたらほら、またあの微笑み。
向こうも冗談で私の頭を撫でるふり。
__ヨシヨシ、よく頑張りました。
ダメ……会えない状況で優しくしないで。
いつもみたいにふざけて困らせてよ。
呆れて冷たい態度取らせてってば。