代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
《掛け違うボタン、燃えゆる心》
ダメだってわかってた。
副社長を好きになってしまった事。
頭では違反行為だと何度も警告を出しているのに、心と体は言う事を聞かない。
どこかで都合の良い言い訳をして正当化してたと思う。
危険な関係に心は踊り、段々麻痺していく。
甘い囁きに体はとろけ隙が出来ていくの。
いつの間にか、セーブ出来なくなっていって周りにもバレてる現状。
自分の管理が甘かった結果だ。
苦しい……
好き過ぎて……違うクライアントの相手なんかしたくない。
誰かのレンタルなんかなりたくない。
便利屋である事がこんなに辛く感じるなんて……本当にプロ失格だ。
他の仕事ならいくらでもやる。
だけど副社長だけは悲しませたくないと思っていたのに………
姉に副社長が好きだと伝えてしまった直後に突然事務所に現れて交際宣言。
処分はそれなりに覚悟はしていたつもり。
副社長をそばで支えてあげたいって思ってたから。
私が居ないとダメになっちゃうかもってどこかでそう決めつけていたのかもしれない。
でもまた新たな契約を交わそうとする姉を見た時にハッと気付いた。
こうして私を買う副社長と便利屋である私達の間には常に契約書があってお金の話をしてる。
そんな関係にはなりたくないのに。
認めてもらえない悔しさと、おそらくこちらの提示した金額を払うであろう副社長を止める方法が1つしか思い浮かばなくて出た行動。
「私、秘書を辞めます」