代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
「えっ…!?」
すぐに気付く。
参列者として入って来たのは全員顔見知り。
ALL ASSISTのスタッフ、そして………
「深山さん、久しぶり〜」
え………?何でここにHIDAKAの秘書課の先輩方や当時の社員さん達が居るの?
「え………なんで……!?」
体が硬直して動けない。
頭が追いつかない。
キョロキョロ見渡し完全に360度囲まれた。
え……?結婚式は……?
新郎新婦の準備も整ってるはずなのに。
ーー絶対に目逸らさないでよ?
姉の言葉に顔を上げたら道が開いた。
そしたら最後に現れた人。
ウソ………雰囲気ですぐわかる。
一番会いたくて仕方なかった人……
溢れる涙。
口を押さえて涙を堪える。
こんなところに逃げても意味なかった……
頭から追い出しても、時間だけが過ぎても、誰かを重ねてみても……全然消えてくれなかった。
どうしてこんなに私を苦しめるのか……
こんなに縛るのか……
ものの数秒で鮮明に思い出させるのか……
答えはひとつ………
私がまだ、日高響也を愛してるから………
どうしよう……溢れて仕方ない。
やめてよ…私まだ仕事残ってるんだよ…?
「深山紗和…!!」
会場内に響き渡る副社長の声。
変わらない声、変わらない眼差し。
変わらない格好良さ。
一歩一歩近付いて目の前まで来たら直視出来ないほど号泣しちゃってる。
「やっと見つけた」
近くで聞こえる声も愛しさが込み上げて辛い。
久しぶりに視界に映る副社長はあの時より大人びていて落ち着いている。