代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
「じゃあ、そろそろ行こうか」
新郎新婦の入場。
扉の前で二人並ぶ。
まさか自分の結婚式だとは知らず、一生懸命作戦練ったり企画したりしてた。
結構話し合いもしてたし相談もいつもより多くしていた気がする。
スタッフめ………笑って聞いてたのだな!?
あなたのですよ〜なんて思われてたのか……後でわかった時ただただ恥ずかしいだけのやつじゃないか。
「紗和…」
隣で腕を組みながら立つ副社長が声をかける。
「びっくりさせてごめんな。戸惑うのも無理ないと思う。こんな結婚式初めてだろ?」
「うん……何もかもが前例のないケースだね」
「でも俺がそうしたかったの」
「え……?」
「絶対忘れられない結婚式にしたかった。俺の強引な性格、知ってるだろ?」
「うん……よく知ってる」
「断られても、奪うつもりだったから」
「えっ!?」
「俺はこの日、この場所から紗和を奪いに行くって決めてたんだ」
「強情過ぎるでしょソレ」
「紗和が俺をそうさせたんだ」
「私っ!?」
「わざとあんな別れ方したんだろ?片時も自分を忘れさせないように。お陰で会えない時間が俺を奮い立たせてくれたよ」
なんだ、お見通しだったのか。
忘れないでいてくれた事が一番嬉しい。
私を糧にして頑張ってくれた日々が嬉しいよ。
「もう離さないからな?覚悟しとけよ」
「それ、私のセリフですから」
見上げた瞳に微笑みかけた。